「Any day now チョコレートドーナツ」〜３人の愛情の深さにジンとくる〜解説感想考察！

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あらすじ
1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。ポールがルディのために購入した録音機でデモテープを作り、ナイトクラブへ送るルディ。学校の手続きをし、初めて友達とともに学ぶマルコ。夢は叶うかに見えた。しかし、幸福な時間は長くは続かなかった。ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまう……。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。

オススメコメント

重く、苦しい映画。

ゲイへの差別が悲しく描かれている。

ダウン症のマルコは健気で、２人といる時はとても楽しい様子が伝わってきて微笑ましかった。

だからこそ、裁判のシーンで２人が差別され、蔑まれ、不当に扱われているのを見て胸が苦しくなった。

何よりも、マルコと２人と接している人はみんな３人の関係性をよく言っているのに、偏見に凝り固まった人たちが何も見ずにゲイというだけで２人をマルコから引き剥がしていくのは見ていられなかった。

最後の手紙を見て、少しでも後悔するのだろうか。どうしても、権力者側の人間はこの映画の彼らのような、ただただマイノリティの人たちをいじめる人ばかりに見えてしまう。

　最後のマルコから、もう復讐のような思いまで生まれた。少しはこのニュースを見て思い知ればいいと。最後まで健気に「ここは僕の家じゃない」と言い続けたマルコは愛おしい。家へ連れて行くときに何度聞いても耳を貸さなかったあの施設の人々も同罪だ。

　普段はまだこの世界ではどうしても敬遠されがちなマイノリティの人々へスポットライトを当てた映画だが、現実として彼らの置かれた環境はまだ不当で、今作のような悲劇が現実でも起こっているのだろうと思わされた。問題提起をしたくて作られた映画なんじゃないかと思う。

　２人の将来はどうなるのか、描かれ切っていない部分も多々あるが、それはそれでいいと思える。

　マルコがハッピーエンドを何度も願う中、映画としてハッピーエンドではないのはシニカルな話だ。

　それでも、ただ落ち込むだけじゃなくて、３人の愛情の深さにジンとくる、そんな映画。