「42〜世界を変えた男〜」〜勇気ある一人の男の姿を颯爽と描く〜伏線解説感想考察!
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あらすじ
4月15日。その日、大リーグではグラウンドにいる全員が背番号「42」をつける。どのチームの、どの選手も。敵も、味方も、関係なく。「42」――それは、大リーグで唯一の、全球団共通の永久欠番。その裏側に、鳥肌の立つようなドラマがあった。
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オススメコメント
感動した。黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの話。
彼のデビューからリーグ優勝を描いた物語だが、あくまで野球はメインではない。それでも、やっぱり野球の力で見ている者はスカッとするのだ。ジャックが打てば気持ちいいし、チームが勝てば嬉しい。そのあたりの爽快さの描き方が絶妙だと思った。
物語のメインは、差別との戦いだ。現代の、しかも日本では想像もできないほどの差別がかつてのアメリカにはあったのだと感じられる話だった。もちろん、いまが完全になくなっているかといえばそうではないだろうけど、ジャックのように道を切り開いていった人々がいたから、少しずつ差別がない世の中へ向かっているのだと思う。
一貫して、ジャックはカッコいい。はじめの差別が酷いうちから、一貫して負けず結果を出していた。それにはやっぱり、ドジャースのオーナーをはじめとして、首脳陣が基本的に能力を認めている環境だったのは大きいはず。ジャックを認め、ただの客寄せパンダではなくきちんと試合に起用し続けチームメイトを納得させた環境があったから(もちろんジャックが自分で作り出した環境でもあるのだけれど)、チームの中で居場所を見つけることができたのだろう。中盤の相手監督チャップマンのヤジには見ていてキレそうになったが、彼をきっかけにドジャースのチームメイトがジャックに寄り添い出したことはとても大事だったと思う。
中盤から、チームメイトに認められていく様子は見ているこっちが嬉しくなってしまった。もちろん、強硬な反対派は存在していて、嘆願書を出す奴や喧嘩をふっかけてくるやつはいる。それでも、味方になってくれる選手がいることはとても安心することだ。
差別の大きさだったり、故意に怪我させられたりと、いくらでも深く谷を作れるほど困難な道のりだったと思う。それでも、見ているものを暗い気持ちにさせずにジャッキーの活躍を純粋に喜べるような演出にしてくれたのが個人的には嬉しかったし、それが成り立ったのは野球をうまく生かして描いてくれたからだと思う。
もう一つ、この映画の驚くべき点がある。それは、これがほとんど実話を基にしているという点だ。ジャッキーの試合での活躍は演出ではなく、それこそお付きの黒人記者が残してくれた記録によるものだろう。日付と対戦相手まではっきり指定して描いていたから、そのはずだ。相手監督がチャップマンの時に2打席凡退して最後決勝のホームを踏んだのも、現実に起こっていたとしたら、現実がドラマチックすぎる。
エピローグで主要キャストの功績が描かれていて、現実とリンクしてグッときた。「42」永久欠番であり、1年に一度メジャーリーガー全員が42番をつけて戦う日があることも知っていた。それでもこの映画を観た後に見るその光景は感動が違うだろうし、重みを感じるだろう。
スポーツという爽快感があるものを題材にしつつ、差別を乗り越え新たな道を切り開いていく勇気ある一人の男の姿を颯爽と描いたいい映画。
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