ハッピーエンド作品紹介ブログ

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「大人の事情」〜超おすすめではないが、2度目は違う楽しみ方ができる稀有な映画〜伏線解説感想考察!

 

おとなの事情

おとなの事情

  • ジュゼッペ・バッティストン
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 最後まで秘密が暴かれ続ける映画。ひと組も幸せな終わり方がない。特に衝撃的だったのが、エヴァだろうか。エヴァの夫妻だけは、父親がいいところを見せて終わるのかと思ったが、そんなわけがなかった。ピアスの辺りで違和感があったが、メールで納得。最後が痩せるエクササイズでシュールに笑えたのが救いだ ろうか。
なぜこの見せ合いゲームが始まったのか、それはエヴァが半ば強引に推し進めたからだ。なぜ、あそこまで強気で行けたのか。それは秘密の当人がその場にいるので、絶対の安心があったからだ。終わってからその伏線に気づき、作品が面白いと思えた。2 度目に全てわかっている状況で見ると、各々の行動理由がわ かってまたそれも面白いだろう。
 しかし後半部分は展開が重く、それぞれが 1 人ずつ秘密を暴かれ身を滅ぼし ていく様子が淡々と描かれており、引き込まれ度は低かった。前半はお互いが牽 制しつつ際どい話を潜り抜けていく感じが面白かっただけに、少し残念。
 それにしても、あれだけ観られたくない秘密をお互い抱えていたはずなのに、 なぜゲームの開始に同意できたのだろうか。正直、エヴァ夫妻くらいしかリスク がない人たちがいないと思うのだけれど。
 この映画でいちばんの名シーンは、整形外科医であり、エヴァの夫が娘からの 電話を受けたシーンだろう。初体験を覚悟がなく迷っている娘に対して、父親と して満点の回答をしたのではないだろうか。あのシーンがあって、誤解を解きつ ついい方向に向かうのかと思っていたら、見事に裏切られた、逆に娘との感動的 な電話を不利に使って、その後の秘密の酷さを際立たせていた。
 正直、ハッピーエンドではないし、この映画よりもオススメしたい映画はたくさんある。それでも、最後まで驚きを与え続けたラストは嫌いじゃないし、前半の牽制し合う感じも良かった。2度目をまた違った楽しみ方で見られる、稀有な映画だと思う。