「ラストクリスマス」〜原曲と映画を照らし合わせつつ楽しみたい〜伏線解説感想考察!
ワムの名曲「ラストクリスマス」から作られた映画。主人公の女の子カタリーナが、一回り成⻑する映画。全体的に軽いテンポで見やすいと思うが、没入間は低 いかもしれない。
初めの主人公は、何をやってもうまくいかない、周りに迷惑ばかりかけてしまう女の子。歌手の夢を持つもオーディションに落ち続け、アルバイトをしつつ堕落した生活を送る彼女は、毎日がつまらなさそうに見えた。
そこへ、好⻘年のトムが現れる。このトムが、カタリーナを導くのだ。「日々の行いが自分を作る」など、ユーゴスラビア出身で過去を気にかける彼女に勇気を与える言葉を送るなど、トムはとてもいいやつだ。カタリーナも惹かれてどんどん好きになるが、トムは最初ぐいぐい来たのに途中から一向に来ない。これは何かあると思っていたら、案の定たんなる恋愛映画ではなかった。トムとカタリーナの間の関係が明かされた時の描写が、とても切なく悲しい。カタリーナから見ていた景色と、周りの人から見る景色の違いの大きさに、間違いなく切なくなる。
しかし、この切ない描写があるからこそ、最後のチャリティコンサートでのカタリーナの明るさが際立つのだ。一つ悲しみを乗り越えて前へと進んだ彼女の姿 が、とても頼もしい。もちろん、序盤に迷惑をかけまくった友人や家族へひとつ ずつ恩返しをしていく描写も心地よい。これはトムの「日々の行いが自分を作る」という言葉を胸に刻んでいることの証だと思う。
この映画で描かれていたもののひとつに、ユーゴスラビア出身の方の苦労がある。カタリーナが頑なにケイトだと言い張っていた理由も、ここにあるのだろ う。カタリーナがユーゴスラビアでの呼び名で、英語だとケイトなのだ。バスで 若者が外国語を話す夫婦に暴言を吐いて降りていったのも然り、カタリーナの母親が苦しんでいる姿も、国の影響によるものがあるだろう。その中で明るくたくましく生きるカタリーナが、希望を象徴しているように感じられた。
そして最後に、この映画の元になった楽曲「ラストクリスマス」についても考えて見たい。元々の歌詞からして切ない歌であり、明るい曲調ながらハッピーな曲とは言えない。その原曲のテイストを、この映画はうまく表現していると思 う。まず、映画全体が明るいテイストで描かれている。これは、原曲の曲調に合わせたものだろう。そして主人公カタリーナの恋は切ない結末を迎える点も、原曲の歌詞通りだ。加えて映画では、恋の終わりから立ち上がり明るく生きるまで を、原曲以上にハッピーに描いている。
原曲を聴きつつ、映画と照らし合わせながらどちらも楽しみたいと思える、いい映画だった。
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