ハッピーエンド作品紹介ブログ

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「スパイダーマン ノーウェイホーム」〜スパイダーマンのエンドゲーム〜伏線解説感想考察!

 

 

 全てのスパイダーマンに捧げる物語。歴代のスパイダーマンがこの作品を合わせて全8作あるが、全ての総決算と言える内容。これまでのシーンの登場人物が数多く登場し、オマージュシーンも盛りだくさんで、これまでの作品を愛している人ほど楽しめる作品になっている。マルチバースという世界観を活かし、複数世界のスパイダーマンのストーリーを集約した構成は圧巻だ。これまで、トムホランド演じる3代目のスパイダーマンは、歴代のスパイダーマンとの繋がりよりも、アベンジャーズとの繋がりが重点的に描かれてきて、歴代作品の定番シーン(身近な人物の死、共通する名台詞等)は少なかった。その意味では、今回のスパイダーマンは歴代シーンの目白押しであり、アベンジャーズとの繋がりではなくスパイダーマン作品の系列としての繋がりが色濃く描かれた、これまでのホームカミング、ファーフロムホームとは一線を画した作品と言える。

 

おすすめポイント1 3人のスパイダーマン

 なんと言っても見所は、歴代のスパイダーマン3人の揃い踏みだろう。初代、アメイジング、そしてトムホランド演じるアベンジャーズの世界のスパイダーマン3人が揃い、共に戦うのだ。暑くならないわけがない。もちろんメインはトムホランド扮するスパイダーマンだが、今回の戦いは、前任者たちの過去の清算の戦いでもある。まずアツかったのが、3人揃って怪人たちへの特効薬製作シーン。全員が優秀な科学者であるという設定が受け継がれている事が伝わってくるシーンだった。そして戦闘シーンでは、アメイジングスパイダーマンが魅せてくれた。当時は信じられなかった、垂直落下していくヒロインに手を伸ばすも、間に合わずに救えなかったスパイダーマン。あのトラウマを、今回きれいな形で生産してくれる。MJを救うため飛び込むアメイジングスパイダーマンには、思わず胸が熱くなる。初代がしっかりと、2代目を君は「アメイジング」だよと励ましているのにもクスリとさせられた。初代も、怒りに身を任せて殺めてしまった後悔を、3代目を止めるという形で清算する。また、忘れられないのはメイおばさんの死だ。初代はベンおじさん、2代目は恋人のグウェンと、大切な人を守りきれず失ってきた歴代のスパイダーマン。3代目も、ついに同じ体験を共有する事になる。シチュエーションや相手は違えど、設定や境遇に共通点があり、お互いを理解し合える関係は、同じピーターパーカーならでは。先人たちの3代目に対する言葉は、これまでの物語を見ているからこそ、重く響く。毎回スピーディーなカメラアングルがカッコいい戦闘シーンも、今回はとても豪華だ。3人の連携プレーが見られるのだから。そして個人で活動してきたからチームワークが苦手という話も良い。連携が向上していくカギをスパイダーマン特有の第6感に求めたり、アベンジャーズの話が初代と2代目に通じなかったりと、小ネタも随所に散りばめられていて、愛が溢れていた。

 

おすすめポイント2 歴代の敵怪人勢揃い

 スパイダーマンが揃うならと、相手の敵もそれぞれのシリーズから敵が勢揃いだ。初代から、アメイジングまで、数々の敵が3代目の世界へ登場し、暴れ回る。その中で、初代、2代目が倒してきたことを繰り返すのではなく、彼らを治療して救うというシナリオは、過去の作品に敬意を表しつつ、初代と2代目の理想を叶える方法でもあったはず。実際、元親友だったりその父親だったりと、倒した事に対するショックを感じる間柄の人々が敵怪人に多かった。だからこそ、今回の戦闘後に元の人間に戻る場面では、初代と2代目の感情が大きく揺れる。この決断は、敵怪人への治療でもあり、初代と2代目の心の治療にもなっていた。これ以上ない結末だ。

 

おすすめポイント3 大いなる力には、大いなる責任が伴う

 初代スパイダーマンから、ずっと受け継がれてきた名セリフ。特に初代は、1作目の序盤にベンおじさんから言われ、強く胸に刻んできたセリフだ。自らが見逃した暴漢に襲われ、死の間際のベンおじさんからの一言は、その後の初代スパイダーマンの指針になっていた。そのセリフが、よく似たシチュエーションで伝えられるのだから堪らない。当時の初代と同じく怒りに任せて殺そうとする3代目と、自分の苦い経験がある初代が止めに入る姿まで、過去作への回答に溢れている名シーンだ。そしてこの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というポイントには、もう一つの意味がある。最後の、自分の存在を全て記憶から消すという決断を下す3代目ピーターパーカーの成長だ。物語序盤に、スパイダーマンの存在を忘れさせるためにDr.ストレンジのもとを訪れわがままを言っていた子供のピーターとは別人になっていた。成長した姿を対比でわかりやすく示されていて、いいシーンだった。そしてその後の、3人のピーターが集まって感謝を伝えるシーンもいい。単に感謝するのではなく、口下手で言葉が出てこないのがいい。そして初代、2代目がそれを笑って受け入れるのだ、「それがピーターパーカーだから」と。お互いが自分でもあるから分かり合える、いいシーンだった。そして、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」からこそ、最後の皆の記憶から消えたピーターの切ないシーンが胸にくる。MJに用意していた原稿をそっとポケットにしまうパーカーは、おばさんもいないので一人ぼっちだ。少し切なすぎた。だからこそ最後の飛び回るシーンからはヒーローの決意とかっこよさが際立つのだが。墓参りのシーンをラストに持ってきたのも、初代の1作目へのオマージュだろう。そこでも、ベンおじさんへの追悼と共に、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉を胸に思いを新たにしていた。描かれてはいなかったが、同じメッセージが伝わってきた。

 

 これまでのスパイダーマン作品をハッピーエンドに上書きし、主人公たちを救済した今回の作品。シリーズが変わっても愛され続けてきたスパイダーマンというヒーローの、エンドゲームと言えるのではないだろうか。全スパイダーマンファンに捧ぐ、スパイダーマンへの愛に溢れたいい映画だった。

 

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