「バンクーバーの朝日」〜スポーツが持つ力を教えてくれるいい映画〜伏線解説感想考察!
時代感を反映した野球映画。野球を題材に、戦争前の移⺠の姿を描いた作品。実話を基にした物語であるため、結末が太平洋戦争となり、大円団とはならな い。それでも後味は割と爽やかで、面白かった。
カナダの日本人移⺠は待遇悪かったのだと感じさせられる作品。おそらくは、 カナダに限らず、白人系の国ではどこであろうと同じだったのだろう。その中 で、野球を通じて対等に交流し、認められていく様は見ていて応援したくなる。
物語の中心は、朝日という日本人野球チームだ。このチームのキャプテンに指名されたのが妻夫木君演じる、レイジ。レイジを主人公として、チームメイトと その周りの日本人街の人々が描かれる。野球で勝つことが目的の映画ではないため、試合展開が複雑に描かれたりすることはない。その代わりに、応援している人々の顔はとても良く写る。朝日が弱小チームから始まり、スモールベースボ ールを駆使して強くなっていく様子は爽快だ。それに連れて、見ている観客の様 子が変化していくのが良い。日本人の観客は増えるし、白人からも日本人の好プレーを称える様子が観れるようになるのだ。野球を通して多⺠族の交流を創出していった様が、観客の様子で表現されていたのだと思う。
レイジの父は佐藤浩市が演じていたが、この世代がまた不器用なのだ。カナダの日本人街を作り上げた世代なのだが、どうにもカナダ人とは相容れられない。 差別を耐えて耐えて過ごしてきたからだろうが、日本人同士のつながりのみで、 敵対意識が強い。レイジの妹である高畑充希が演じていたエミリーとは対照的だった。エミリーはカナダの親日家の家で働かせてもらっており、学校もカナダ人とともに通い成績優秀。カナダを好きで居たいと寂しげに話す姿は、親世代と は考えや思いが異なることを示唆していた。それでも、奨学金が日本人だからという理由で取り消されるなど、まだまだ差別は多い。だからこそ、野球で朝日が 活躍すると、日本人の誰もが喜ぶのだ。また、勝つごとに認められていく様子も 興味深かった。おそらく、バントばかりの作戦など、誹謗中傷は多くあっただろ う。それでも映画では敢えて描かなかったのは、日本とカナダ双方の光の部分に 焦点を当てたかったからではないだろうか。日本は朝日の活躍に胸を躍らせた。 カナダ人も朝日の活躍を認めるものも多く、素直に称えた人たちがいたことを きちんと伝えたかったのではないか。
現実に朝日がカナダの野球殿堂入りしているのは、とてもすごいことだと思う。
生きて行くのが大変な中で、日本人の希望となり、カナダとの架け橋となった朝日はすごいし、スポーツが持つ力を教えてくれるいい映画だったと思う。
閲覧ありがとうございます!
スター、ブックマークお願いいたします!
またぜひ遊びにきてください!!