「人生の特等席」〜誰もがどこかで共感できる〜伏線解説感想考察!
大リーグチームのスカウトである還暦近い父親と、その一人娘で母を亡くし父親にもほとんど構ってもらえなかった弁護士の娘の物語。すごく、よかった。 スッキリもするし、人間模様もいい。2時間の使い道としてとても有意義だと思 う。
誰にでも、共感できる要素はあると思う。父親は年による衰えが激しく、凄腕 のスカウトだが目が見えなくなってきている。一方娘はバリバリのキャリアウーマンだが、出世欲が強いために理不尽な上司に苛立ちを覚える。そして、親子 の仲もかなり悪い。そんな二人が、父親の目が見えなくなる病気をきっかけに 2 人でスカウト業務を行う中で、諸々の悩みと向き合っていく。特に病気が詳しく語られてメインになるわけでもない。基本的には周囲との人間関係と親子関係 がメイン軸だ。そこに、かつて父親がスカウトした大リーガーで、今は肩を壊して引退した若者スカウトが絡む。この若手スカウトと娘の恋模様も微笑ましい。
親子がもがきつつ、距離を詰め、自分の将来を探していくのが良い。やっぱり一番はクライマックスだ。この映画は中盤から一人のドラフト候補生を巡って話は進む。その候補生は下馬批評は高いが、親子は欠陥を見抜き獲得見送りを進言する。親子と仲が良くなった若者スカウトにもそのことを正直に話す。彼はそれを受け入れるが、父親の球団上層部は他のパソコン信奉者であるライバルスカウトの意見を重視して獲得してしまう。この瞬間、全てが崩れるのだ。球団からは信用されていないことを突きつけられ、若手スカウトも裏切られたと思い込み怒りのままに別れていく。そこからの大逆転が爽快だ。データしか見ないスカウトを尻目に、娘のミッキーが自分の目と耳で高校野球にも入っていない地元の少年を発掘して、指名してしまった有望株をコテンパンにする。 この指名された候補生が絶妙に嫌な奴に描かれているのもこのシーンの気持ち良さを倍増させる。データしか見ないスカウトは面目丸潰れで、親子はたちまち見返すことに成功する。娘も弁護士会社から酷い扱いを受けたのちに後釜がしくじって戻ってくる事を請われるも拒否。あの携帯をゴミ箱に投げ捨てる描写は最高だった。
適度にストレスを感じて終盤の爽快感への伏線が張られつつ、それまでもロマンスの要素など、見ていて辛くない展開が良い。一番の驚きは父親の過去の告白だったが、それすらも病気と同じく深く掘らない。深く描くところと、あくまでさらっと描くところと、強弱ついていてよかった。なぜだか、父親が一人で母親に墓参りしているシーンも印象に残った。頑固親父が寂しそうにしていたからだろうか。小さい頃は近くにいた父親の影響を受けて、娘が誰よりも野球に詳しく動けるのも良い。プロ顔負けの知識あるのは面白い設定。父親からホームラン打つ描写も良かった。娘が野球好きだからこそ、最後の将来の道が生まれる。 綺麗にまとまった、いい映画。
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